WILLIAM MORRIS RED HOUSE / ウィリアム・モリス、レッドハウス

4月7日、土曜日。

今日は小旅行を企画した。ロンドン郊外にあるWILLIAM MORRIS/ウィリアム・モリスの自邸、RED HOUSE/レッド・ハウスを訪れる事にした。朝11時にLONDON BRIDGEに集合。MATSUOさん、TKYM氏、KUBO-C、MIDORI-NUの5名が集まった。まずBOROUGH MARKET/バラ・マーケットで朝食を購入。パン屋さんでパンを買い、ST JOHNSで定番のカスタードドーナツ、おいしいキャラメル・プリンを買った(プリンはその場で食す、美味)。

12時半過ぎの電車に乗り込んで東の方角へ30分程ゆられる。BEXLEYHEATH駅に到着した後は、徒歩15分程街中を歩く。「郊外」という言葉がぴったりの町並みが広がっている。ロンドンの様に住宅の両端を隣人と共有するPARTY WALLがなく、大体の住宅がDETACHED/一戸建・分離している。しかし注視してみると、一軒の住宅と思わしきものが明らかに左右対象な形をしていても、屋根の素材や外壁の仕上げなどが丁度ど真ん中で区切られ左右で違ったりしているのが面白い。つまり一戸建てにみえても恐らく建物のど真ん中にはしっかりとPARTY WALLが存在しているのだ、と思われる。有名な「Typologies of Industrial buildings」という本を真似して「イギリスの郊外住宅のタイポロジー」とか表題して本でも出版しようか。沢山写真は撮れる。

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閑静な住宅街を歩いていると突然孤立している区画があらわれ、WILLIAM MORRISの邸宅、RED HOUSEだと理解する。GREATER LONDON COUNCILから発行される青い丸い形をした印が目につく。「1860−65年の間ここに住んでいた詩人、芸術家WILLIAM MORRISのために建築家PHILIP WEBBによって1859−60年に建設される。」と書かれていた。敷地の中は外とは別世界の濃密なガーデニングと自然によって満たされている。その中にL字型のプランをしたRED HOUSEが建っている。敷地の角地に位置する旧馬小屋にてチケットを購入し、まずガーデンを散策。不思議なガーデンで種類の豊富なオリエンタルな植物が所々に植えられている。RED HOUSEの建築も写真を見てもらえば解るように実に可思議な形をしている。言葉での説明は僕には難しい。

内部へ入る。NATURAL TRUSTの女性がとても親切で僕たちが日本人だということがわかるとすぐとある扉のガラスに注目させた。目を凝らしてよくみて見るとそこには色んな人物の名前らしきが刻印されていた。その中に「M SAITOH 齋藤實」(第30代内閣総理大臣。1897年にここモリス邸を訪れたらしい)、「海軍大尉 佐野常羽」という字を発見する。勿論事情に詳しいNATURAL TRUSTのおばちゃんは丁寧に日露戦争の話や、戦艦(名前は忘れた)の話、その戦艦がテムズ川でイギリスによって建造された事など色々と話してくれた。勉強不足でこれらの名前がどうしてここに刻まれているのか、どういう歴史的意味があるのか検討がつかないけれども興味深い。

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L字のプランでボリュームが交わるところに吹き抜けの階段室があるというシンプルな空間構造。各々の部屋には特別な家具、壁紙がみられる。硝子にはモリスの鳥や植物などの絵柄が描かれている。家具も勿論MORRIS, MARSHALL, FAULKNER, & CO.のもの。ちなみに、MORRIS & CO.はいまでも現存しテキスタイルを販売している。150年の歴史だ。あくまでWILLIAM MORRISに焦点を当てるようにしてみるのだけれども、どうしても建築に目がいく。外見からみてなかなか大胆なHALF HIPPED ROOFをしていて強引な屋根のぶつかり方をしている。内部から見るとやはり壁紙の一部が黴びていたりして、屋根の谷部分の納まりが危ういのを理解する。

色んなものをみて刺激を受けた。ガーデニングと建築のカオティックな空間を充分に体験して、レンガの塀を超えて現実にもどった。するとなんと郊外の町並みがノッペラで残念な事なのかを実感する。往路で郊外の写真を撮った理由がイマイチ解らなくなった。それはそうと電車に乗って再びセンターへ。日本語ぺらぺらユダヤ系イギリス人のDANIELが合流し6人でDESIGN MUSEUMへ。MATSUOさんレコメンドのDESIGN OF THE YEAR 2012。建築、プロダクト、ファッション、インダストリアルデザインなどの分野から選りすぐられたデザインが沢山並ぶ。実際のデザインの大半は興味深いものの、毎年開催されているこの展示会のここ数年の歴史的変遷が色んな切り口で調査され壁に大きく記述されているのが興味があった。例えば展示されてきたた作品にはどういうマテリアルが多く使われていたか、、答え:WOOD、新素材は意外に多くはないという事実。展示されたデザインの多くがMASS PRODUCTIONに対応している、あるいはONE-OFF、つまり一品限りの制作でとどまっているという両極端が多いという事。提出されたデザインの40%くらいが英国でデザインされたもの、、などそういう情報が調査されていた。。

さてデザインミュージアムの後は、コベントガーデンにいってインドカレーの食事。空きっ腹にスパイスのきいたカレーが効く。