5月25日、前半

朝、確か9時くらいに起床したと思う。ホリデーの良さは朝起きた時に時計を見なくてもいいことである。昨晩からボイラーをつけておいたので温かいお湯が出たがKUBO-Cが先に入って沢山のお湯を使っちゃったのでヌルいシャワーを浴び朝食へ。景色を観ながら、カプチーノとクロワッサン、ヨーグルトの朝食。若干肌寒いがロンドンの寒さと違って不愉快にならない。朝食の後チェックアウトし荷物を預ける。KUBO-Cに頼んでイタリア語でホテルのオーナーおばちゃんに美味しいランチどころを聞いてもらってから外出。しばらく街を散策したり、絵葉書を買いポストオフィスにいって郵送したりする。特に計画もせずブラブラして街を、というか規模的には村を歩きまわっているとあっというまに昼時になる。

[:W640]
まずは散策。


港のパノラマ。


泳いでしまおうか。

おばちゃんに云われた通りの場所にRISTORANTE DA LUCIANOを発見。奥の方に行くと景色がばっと開けストロンボリのパノラマが飛び込んできた。ロケーションは最高。観光シーズンになると沢山の人で賑わうのだろうと容易に想像できる。しかしながらわずかにオフシーズンなので数人のお客さん達だけで静寂そのもの。海からの風が心地良い。遠くから波の音がきこえ、足元からは鶏の鳴き声。時々ピアジオ・アペのエンジン音や火山の爆発音が聞こえる。

ストロンボリッキオパスタと、本日の魚のグリル。大きなエビ、カジキマグロのフィレ、スクイッド。

レストランのテラスより。一番奥の角っこに座ってランチをした。

僕が座ったところから

アンティパストにアーティチョークイワシの酢漬け、ナスのグリルなどをショーケースから選んで頼み、本日の魚のグリルとPASTA OF STROMBOLICCHIOを注文した。飲み物はKUBO-Cはビール、僕はレモンソーダ。料理は写真の通りに彩りキレイで、文句なしに美味しい。KUBO-Cは海が見える方向に座り、僕は火山が見える方向に着席。華奢なスチールロッドに支えられたスダレの屋根は、海の方向に片流れして低くなっている。最も高い部分は視界が開け、僕の席からは山の景色が楽しめる。屋根のエッジラインが山の稜線をうまい具合になぞっている。隣のお客さんが日本人が珍しいのか一緒に写真を撮ってくれと頼まれたので、撮影。一度だけ火山が爆発し、火口付近から黒煙が登っていくのが見えた。店員以外皆眺める。贅沢である。


ゴムボートを用意中のGVNIとGVNIの父ちゃん。


ゴツゴツとした斜面。


海水が綺麗で、今すぐにでも飛び込みたかった。

一旦ホテルに戻りオーナーおばちゃんにお礼を言って、おじさんにピアジオのタクシーで港まで送ってもらった。帰るわけではない。これから島を一周するツアーに出かけるのだ。お客さんは僕ら2人以外誰もいないのでゴムボート2人貸しきりであった。エンジン付きゴムボートを船頭してくれるのはGVNIという兄ちゃん。島を時計回りで1周してくれる2時間程のツアーだ。船乗り場でゴムボートに乗って、沖の方に出た。沖の方は波が荒々しく終始アクロバティックで、ジェットコースターにでも乗ってるかのようだった。普通ならライフジャケットとか着用してないと危ないような波だ。しかしそんな状況にもすぐ慣れた。KUBO-Cは大学時代ヨット部だったので、まったく問題無し、キャハハと笑っている。しばらくして余裕が出てきて景色にも集中できる様になってきた。海はありえない程に透明で青かった。あおい、葵い、蒼い、碧いすべてのアオが入っていて実に美しかった。去年の夏訪れたメノルカ島の海と比べても、圧倒的にこちらの方が綺麗だった。ここでだったら溺れても怖くないような色だ。山の火山岩や緑も、乾燥した土地柄の色が出ていて美しかった。海の潤いと乾燥した山が隣接しているのを観るのは何とも不思議であった。


展望台付近から。遠くに島が見える。


昼休み中のGVNI。


危険な火山の側面。

途中、小さな港で停泊してくれて30分間の時間をくれた。その間に丘の上の景色を眺めてきたらどうとGVNIがアドバイスをくれた。汗ばみながら頂上に到着。7つの島がぼんやりと見える。潮の香りがする。港を見下ろしてみるとGVNIがボートプカプカと浮かびながら昼休みをしている。30分の休憩後は火山が活発な方へと移動、数年前に大規模な噴火が起こった斜面を眺める。斜面からは噴煙があがっている。熱そうだ。頂上はさぞかし灼熱地獄なのであろう。マグマがどばっと斜面を流れ落ち、海水に流れこんでいく様を想像すると悲惨な風景に見えてきて、恐ろしくなってきた。ゴムボートで浮かんでいる海の深さ、粗粗しさといい、自然が突然怖いものに思えてきたが、しばらくしてその気持ちは消えた。

ストロンボリッキオ島もグルリと回ってくれた。波が荒くて岸壁にたたきつけられそうであった。火溶岩が搭乗に露出して残った岩体で、こういうのは岩頸(ガンケイ)/ VOLCANIC PLUGというらしい。GVNIはKUBO-Cと一緒に火山を背景に記念撮影をしてくれた。あっという間の2時間だった。港の真ん前のホテルでレモンシャーベット的な飲み物を飲みながらシチリア本島行きのフェリーを待つ。GVNIのお父さんが貸してくれた不思議な木製のおもちゃの仕掛けの原理を考えながらゆったり過ごした。


ストロンボリッキオ。波が荒くてなかなか水平が確保できず。


ストロンボリッキオに激突寸前。


フェリー到着、これから本島に戻る。