イースター休み4日目:SOUZOU and...

4月1日、月曜日。

エープリル・フールだけど、記事の内容は嘘ではありません。

よく眠った結果、11時半に起床。今日は1日グダグダしていようかなと思っていたら、TKYM氏から連絡。WELLCOME TRUSTで開催中のSOUZOU展に行きませんかという誘いだった。WELLCOME TRUSTの展示はいつも評判がいい気がするし、SOUZOU展が見応えのある展示だという噂を聞いていたので、、お、これはいいチャンスだと思い外出する決意をする。


SOUZOU展、大盛況だ。

EUSTON STATIONから徒歩3分、母校であるBARTLETTの隣に建つWELLCOME TRUSTへ。TKYM氏と合流し、SOUZOU展へ。SOUZOUとは「想像」と「創造」のDUAL MEANINGを持った造語、副題としてOUTSIDER ART FROM JAPANと掲げられている。46名のSELF - TAUGHT ARTIST (独習のアーティスト)で日本全国の社会福祉施設で生活している人達の作品だ。アート作品、、という言い方が適切かどうかわ分からない。何故ならイントロダクションにあるように、この展示で眼に入るものは「OUTSIDER ART… COMMONLY USED TO DESCRIBE WORK MADE BY ARTISTS WHO HAVE RECEIVED LITTLE OR NO TUITION BUT PRODUCE WORK FOR THE SAKE OF CREATION ALONE, WITHOUT AN AUDIENCE IN MIND/純粋に何かを創造するという目的だけにつくられており、これらが誰かの目に入るという事は意識されていないアウトサイダー・アート」だからだ。それぞれの作品プロフィールを見てどの美術館が所有しているのかをみたら、大体は作った本人が所持しているものだ。美術館のガラスケースに入ったり、値段が付けられてマーケットに出回るものではなくて、クリエーターが純粋に何かを創るという事が目的でつくったものなのだ。大半はドローイングだが、彫刻、服飾的な表現などもあった。

最初TKYM氏と観ながら二人共が感じたことは、どれも暗く重い。日本の闇の部分が作者を通して表現されているというような印象を受けた。どの作品もその様に見えた。しかし、展示の中盤から終盤にかけて徐々に見方が変わってくる。時代背景や日本が抱えたダークなものというよりも、単純に本人のモクモクトした創造意欲に意識がいって楽観的になる。最後のセクションで映像が公開されることで、それはより確実になる。映像には見入った。しかし創造意欲だけをみるのではなくて、前述したように社会福祉施設にて生活し制作している46名の作者のこれまでの人生は決して平たんではない事が映像では示唆されている。作品から感じ取れる大部分がその闇の部分、並びに創造の楽しみも感じられる。

Norimitu Kokubo's drawing
From http://www.guardian.co.uk/artanddesign/2013/mar/27/artwork-japanese-patients-care-londonより

NORIMITU KOKUBOくん、17歳のFICTIONAL CITYSCAPESは衝撃だった。本人が訪れたことのない都市をインターネットや、新聞などからGLEAN / 少しずつ集めて再構築した巨大なドローイングは凄かった。スカイスクレイパー、観覧車、車にトラック、駐車場、パトカーにオフィスビル。色んな国の色んな建築が1つの絵の中にところ狭く大きく描かれていた。イタロ・カルヴィーノの「見えない都市」がビジュアル化されたらこういう絵になるのかな、それともギー・ドゥボールのサイコジオグラフィーに近いのかもしれないなと、こっちの想像が膨らむ。僕の凝り固まった頭ではもうこういう絵は描けないなとため息が出る。ここまで手が自由に動かない。大前提として描く線に何かしらの意味付けがされてないと動かない。スケッチは別だけれども。

ものすごく大きかった。幅は8メートルで、10メートルのロールが全て終わる事で完成されるので、まだ未完だった。自分の体より何倍も大きいものをモクモクと描いていったのだろう。世界中から集めた建築には建築家の設計した建築、例えばザハ・ハディッドの建築も入っていたらしいが見逃した。

Kenichi Yamazaki's drawing. From http://www.wellcomecollection.org/whats-on/exhibitions/souzou/image-galleries/possibility.aspx?view=souzou-yamazaki より

KENICHI YAMAZAKIさんの病棟のベッドサイドテーブルでボールペンと身近な製図道具で描かれた図面らしきも素晴らしく綺麗だった。ENGINEERING SCHEMATICS、何かの図面かは解らないが彼はそれをBLUEPRINT / 図面だといった。線と線を引くとき、コンパスで小さな穴を開け、その点を結ぶようにして先がひかれる。完成したものを光に掲げて見ると無数の穴が星座のように綺麗であった。そういう風に展示されていた。

久しぶりの見応えのある展示だった。二人共実に満足。ちなみにイースターホリデーの最終日なのにすごい人だった。皆噂を聞きつけてやってきたのだろうか。

[:W640]

BRITISH MUSEUM。考古学的なものもまた魅力的である。時計・置き時計を見た。機構に目がいく。フォスターの中庭でTKYM氏とお茶をしながら休憩。


フラフラ散策する。

18時半まで町中をウロウロして安藤忠雄氏の噴水、というかウォーターフィーチャーを見たり、MACKINTOSHのコートをガラス越しに眺めたりした。18時半、PICCADILLY CIRCUSへ。今日初対面の若い学生2人と合流。IKDくんから紹介された経営システムと経済を専攻する後輩達である。色々と話しを聞かせて下さいという事だったので、TKYM氏も誘いSHEFFILEDからのSMSNも巻き込んで、5人で食事。中華だった。かなり高級そうな店構えに焦るが、結局大丈夫だった。むしろ期待していた杏仁豆腐があまりに期待はずれだったので、苺だけ食べて全部残した。まずい。うまい杏仁豆腐はロンドンにはないのか。まあそれはそうといろんな会話が出来た。SMSNは建築の歴史を専攻する博士課程に在籍するタイ人のエリートだ。SMSNの担当教授は僕も日本の大学院にいた頃、HANS SCHAROUNの研究で大変お世話になったPETER BRUNDELL JONESだ。一度もお会いしたことないので今度シェフィールドに行ってみたいな。
SMSNはバスで帰宅。ほか4名は歩いてセンターポイント周辺まで、バスに乗ってそれぞれ帰宅。