BANK OF ENGLAND / イングランド銀行

朝9時半にBANK OF ENGLANDのOPEN HOUSEが開始される。イベント紹介するウェブサイトにはLQのサイン、つまりLONG QUEUE=長蛇の列と示されている。一昨年のロイズを訪れた時は余裕を持って訪れたので殆ど待たずに入場できた。朝7時に起床、8時半過ぎには到着して列に並ぶ。朝早くても皆並ぶのだ。しかし問題ない長さ。45分ほどで入場できた。厳重なチェックインを通過してイングランド銀行のスタッフによるガイドがスタートする。携帯電話の電源をまず切るように指示され、写真撮影もお断りされる。セキュリティーも一緒についてくるのでスケッチする時間もないので目に焼き付けなくてはならない。

幾つかのセキュリティードアを抜け銀行員が働く空間へとたどり着く。重厚な作りで緊張感がある。GRADE 1 LISTED / 第1級指定建造物。1733年に敷地の南側に面してつくられた部分はGEORGE SAMPSON、1770−1786年にかけて両脇に増設された部分はSIR ROBERT TAYLOR、そして1788年以降につくられた建築家ジョン・ソーンによる増築と改築によって現存する全体が形成された。しかし現存するジョン・ソーン設計の部分は、建物の周囲を囲う窓のない外壁のみである。第1次世界対戦後のROBERT TAYLORの完全改築によって外壁以外のジョン・ソーン部分のほとんどは取り壊されてしまった。この取り壊しに対してニコラウス・ペヴスナーは"The greatest architectural crime, in the City of London, of the twentieth century" 、「20世紀のシティー・オブ・ロンドンにおける最大の建築的犯罪である。」と避難した。このような色んな歴史的な積み重ねがあって形成された建築で、インテリは非常に複雑なレイアウトをしている。一人で歩く事がもしあったとしたら確実に迷ってしまう。

地階より上層は7層、地下3層。地下には政府が保有する金塊(金の延べ棒)が並べられているのだそうだ。写真を見せてもらったが本当に並んでいる。イングランド銀行が保管する金の価値は約£206billion、日本円にして26兆円だそうだ。


From http://www.dailymail.co.uk/news/article-2095535/Bank-Englands-glittering-stash-156BN-gold-bars-stored-canteen-London.html より

GOVERNERや重役が使用する部屋、会議室にはJOHN SOANの椅子や家具が現役で使用されていて興味深かった。特にANTEROOM/控え室はオリジナルが再現されておりすべてにジョン・ソーンのエネルギーが注がれている。楕円形のデスクで4人が同時に仕事が出来るように工夫がされたデスクや、繊細なデコレーションが美しい木の椅子など。オリジナルの炉棚や暖炉の柱石など。今僕が設計している住宅には暖炉が3つある。それらはいずれもCHESNEY'SのJOHN SOAN、CHIMNEY COLLECTIONを使用する予定なのだけれども、JOHN SOANEのデザインは現在でもレプリケートされている。CHISNEY'SではJOHN SOANE MUSEUMとのライセンス契約があり、ミュージアムにアーカイブされているCHIMENY PIECE / 暖炉関係の部材図面を複製することが許されているので今でも製造・販売されている。しかしBANK OF ENGLANDのオリジナルは実に巨大だ。暖炉のスケールが違い、装飾が複雑で豪奢だ。それに各国からの豪華な贈呈品やアンティーク時計、絵画などが更に部屋を絢爛にしている。しかしゴテゴテしさはあまり感じられない、、だた目が披露する。

あっという間のガイドが終わり、通常入館できるミュージアムの裏口にたどり着いた。外に出て列を見てみると、数百メートルの列ができているのを見てゾッとする。早起きは三文の得なのだ。