Dulwich Picture Galleryとその地域

午前8時半に目が覚める。9時半に起床、和食の朝食の後掃除をする。今日もいい天気なのでどこか外出しようと考える。TIMEOUT誌のTOP 10 ART EXHIBITIONの項目を参考にして決定した。今週、あるいは今月かどうかわからないけど、とりあえず第1位だったDULWICH PICTURE GALLERYのERIC RAVILIOUS展にいってみよう。一体何処にあるかすら知らないのだけれども、知らないところにも行ってみたい。調べてみるとここからDOOR TO DOORで1時間かからないほどのところ。よしじゃあ行ってみようとチューブに乗ってVICTORIA駅まで。VICTORIA駅でKUBO-Cと連絡して今日は南の方にいくよと連絡をする。コーヒーとキノコチーズのクロワッサンを買って電車に乗る。

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VICTORIA駅から出発

VICTORIA駅から15分程、3駅分だ。ほとんど誰も乗っていなくて静かな車両だった。快晴なので景色が美しい。BRIXTON、HERNE HILLの次のWEST DULWICHにて下車。駅から降りてすぐ、この地域の良さがすぐに知れた。僕が住んでいる地域も結構自然豊かな方なはずなのだけれども、こちらのほうが圧倒的に人の数が少なく、土地が広々として緑が古くから根付いていて皆大きい。テニスコートや子供の遊び場が沢山設けられている。それにDulwich大学のキャンパスがあるというのも更に重要。

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DULWICH UNIVERSITY1

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DULWICH UNIVERSITY2

しばらく歩くとDULWICH大学が見えてきた。景色がこれまた良い。芝生が青々としている。草刈り中なので風が吹くと芝生のいい香りがする。家族連れで歩いている人達やカップルが時折歩いている。しばらく景色を見惚れる。もし郊外に住むのだったらここだと思った。VICTORIAからたった15分のところにこんな街があったなんて、と今更知った。

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DULWICH PICTURE GALLERY到着ー。

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DULWICH PICTURE GALLERY、いい場所。

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ギャラリーの内部

散策を続けながらDULWICH PICTURE GALLERYを探す。敷地への入り口を探して敷地内へ入る。なんて良い光景だろうと久しぶりに思った。センターのスクエアで人が集まっているのとは全く違う。家族連れや老夫婦、地元の友だち同士など、観光客ではなく地域に住んでいるらしきローカルな人達が集まって週末を楽しんでいる。しばらく眺める。

さっそく内部に入ってみる。企画展示はRAVILIOUS、なかなかの行列ができているので並ぶ。£11で入場。DULWICH PICTURE GALLERYは来るまで知らなかったけど、JOHN SOANEの設計だった。長方形のシンプルな平面が3つの正方形と2つの長方形に交互に区切られてそれぞれが展示空間になっている。それぞれの四角の上に大きなROOF LANTERNが乗せられており、豊富な光が内部に落ちている。壁の色は臙脂色だろうか。

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JAN VAN HUYSUMの花の絵。

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花の絵のディテール。蟻、蜂、雫。

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レンブラントもあった。

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寄木細工のCHEST OF DRAWER

パーマネントコレクションにはNICOLAS POUSSANやらREMBRANTをはじめ見応えのあるものが沢山。なかでもJAN VAN HUYSUM ( 1682−1749)というオランダの画家の花の油絵には見入った。息を呑むほどの描写力、ディテール力。鼻がキャンバスに触れる程近づいて見せてもらってやっと焦点が合う程の細かさである。目を凝らしに凝らして見ると花弁に小さな蟻や蜂、小さな水の滴が描かれている。その水の滴には更に光の反射と透けて見える花弁の色の歪みまでしっかり、蟻の尻の反射とテクスチャまで表現しきっている。まさに説明書き通りMETICULOUS - (極めて注意深い、細部まで行き届いた)である。見飽きない。

絵画は挙げればきりがないけれども、何気に置かれている家具類がまた素晴らしい。CHEST OF DRAWER / 引き出しのついた収納などが特に。日本か中国かの寄木細工のCHEST OF DRAWERなんか綺麗だった。何も説明がないので何時の時代のどこからのものかはわからないけど。色んな紋や幾何学がフレーム内に散らばっていた。


From http://www.telegraph.co.uk/culture/art/art-features/10580059/Eric-Ravilious-The-artist-who-made-the-pastoral-political.html より

さて企画展のRAVILIOUS。ERIC RAVILIOUS(1903−1942)はイギリスの美しい水彩画を描く画家である。WEDGEWOODのセラミックにデザインでも有名だそうだ。第2次世界対戦において王室海軍に配属され、公式に戦争画家となる。車や、船、水車などの産業的なオブジェクトをたくさん描いている。産業的な造形物のフォルムと複雑な機械の機構などを簡素化して描き、水彩で色付けされている。戦争画家として海軍に配属され戦艦や、潜水艦を描くも、絵画には戦争の悲惨などが表現されていない、純粋に産業造形物の美しい形が表現されていて、まるでインダストリありデザイナーのような感覚をうける。後半にはイギリスの田園風景、空、海の風景に絵の対象が移る。自分自身の脚でいろんな場所を散策して不思議な場所をみつけてくるのが好きだったようだ。そしてイギリスの曇り空をクロスハッチで表現したなど実験的でもあり、興味深く鑑賞できた。1942年、戦争画家として搭乗した飛行機がアイスランド沖で消息不明になり、39歳の逆さで亡くなった。

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建築の模型。

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GALLERYのGARDEN

展示を見終わった後は庭でスケッチ。JOHN SOANの建築をひなたぼっこしながら描いた。日光と風のコンビネーションが心地よい。17時頃にGALLERYは閉館、GARDENも閉まった。地域のGREEN CHAINといわれる緑あふれるルートを歩きながら散策。本当にいいところだ。いずれここに住みたい。KUBO-Cが来英したらこの地域に住もうかなと真剣に考え中。


せっかくなのでスケッチも。その1。JOHN SOANEのLANTERN ROOFLIGHTとSIDELIGHT。と切り株など。


その2。JOHN SOANEの建築のパーツ。パラペットの上に奇妙な造形が乗っかっていたので。

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GALLERYを後にして、周辺を散策。GREEN CHAINといわれる緑のネットワークを歩く。気持ち良い。白い建物では今日は結婚式をやっていた。

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STREAM / 小川もある。

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色んな所にいい景色が発見できる。

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REGENTS PARKやらと比べて更に綺麗な芝生。人が少ないからだろう。

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DULWICH周辺のGREEN CHAINの地図。これは住みたい。なんとしてでも。

夕方の電車でセンターに戻り、日本食材店で食材を買って帰宅。家でトマトのスパゲッティをつくって夕飯にする。夜はブログを更新したり、メールをしたり。