イースター休み1日目:V&A

3月29日、金曜日。

EASTERの4連休がはじまった。しかし何も具体的な計画を立ててはいない。
昨日木曜日にビザコンサルタントよりビザ延長のためのアプリケーションを無事に提出し、とりあえずはUKBAからの連絡とBIOMETRICの通達を待つのみという連絡を受けた。今のところ全て予定通り。パスポートが手元から離れるのはしばらく前から分かっていたので、外国には行けない。それにここ最近の気温は氷点下まで下がることもあり、折角の休みだけれどもどうも日帰り旅行をオーガナイズする気持ちも起きない。ということで朝起きてから今日は何をするかを考える始末。それもまあありかな。去年のイースターはウィリアム・モリスのレッドハウスにいったり、DAVID HOCKNEYの展覧会に行ったりしてた。内容的には似たり寄ったりの過ごし方になりそうだ。それにしても、あれからもう1年が経過するのか、、、恐ろしく光陰矢の如しだ。

さて今日は主に何をしたか。
まずは一点張りでポークカツ定食を食べた。美味しかった。その後にSOUTH BANKにいってLIGHTING SHOWを覗いてみようと思うも、TICKETS ALL SOLD OUT。なるほど、ブッキング形式で時間制限されている展覧会だとは全く知らなかった。しかも4連休中はすでにALL SOLD OUTのようだ。まあ仕方ない、連休が開けてからの4月の週末のどこかにねじ込もうと思う。しかしスケッチブックとペンだけで外出してきて何も収穫がないというのも残念な話なので、困ったときのVICTORIA & ALBERT MUSEUMということでSOUTH KENSIGNTONまでバスで向かう。


6FのCERAMICSの展示。
スケッチを幾つか。
地階、2,3階は家族連れなどで混雑しているのだが、いつも決まって6Fは誰も居ないのである。6Fには何がコレクションされているか。それは世界中から集められたCERAMICSとFURNITUREである。このコレクションは写真を見ていただけるとお分かりのように膨大である。しかもほとんど観ている人がいないので好きなだけ観ていられる。

CERAMICSの方で興味深い物体を発見したのでそれをスケッチする。CERAMICSの語源はギリシャ語の”KERAMOS”=粘土を焼き固めたもの、である。元々柔らかく、窯で焼き上げる事でそれが硬くなるという製造プロセスが観ている時に頭に浮かぶ。スケッチしたものだがなんというか、ソフトな土の状態と、高温で焼き固められ焼結体となった状態が造形表現によって両立されているような感じがして面白いなと思ったから。硬さと柔らかさが両方感じられる不思議な物体だった。壺でもなく、皿でもなく、ティーカップでもない、只のオブジェだったけど。1968年に焼かれたそうだ。

FURNITUREへと移動した。DR SUSAN WEBER GALLERY。トップライトが明るい細長い展示空間で、過去600年の家具の歴史をマテリアル・製造方法・ディテールなどの側面から詳しく知ることができる。椅子やテーブル、スツール、棚等、家具と思われる形式のものはとりあえず揃えられていた。職人の技やディテールなどに目が行く。スケッチしたのはシンプルな本棚だった。1997年、スウェーデン製の家具でCONCEALED HINGEが取り付けられた、可動式のもの。シンプルで綺麗だなと思ってみてみたら、IKEA製であった。ウェブページにはこの製品の歴史的な重要性がしっかりと書かれていた。消費者の部屋のレイアウトに、色んなコンフィグレーションで対応できるということだ。

もう1つは椅子のクッションのディテール。建築の図面でこの柔らかい切断面はあまり書かないなと思い、知識として吸収しておこうと思った。18世紀の椅子で、金のGILTINGが施され、グリーンのベルベットが座面になっている。座面の木製フレームにはベルトの様な皮の帯紐がグリッド上に配置されて固定され、その上に丈夫な綿生地敷かれている。その上に粗めの亜麻布が詰まっている。緑色の生地で包まれ、木製のエッジ部分で真鍮のネイルで固定される。このディテールが図解されていたので、これをスケッチした。椅子の1730年の椅子のディテールを頭に叩き込んだ。


同じく6F。FURNITUREのGALLERY SPACE


イームズのケース・スタディ・ハウスと同じコンセプトの家具。ESU (Eames Storage Unit) 421-C。L型のスチールフレームが骨組み。定間隔で開けられたネジ穴があるので、棚はアジャスタブル。バックパネルはスチールロッドの筋交い、メタルグリル、あるいはPLYWOODやLAMINATED PLASTICなどが選べたようだ。

下の階に降りてみると、BRITAINというコーナーがある。家具や絵画、彫刻、オブジェなどあらゆるものが年代に分けられ展示されている。クリスタル・パレスの大きな模型が展示されていたので眺めていた。ロイズ・ビルの頂部のイメージと重なる。壁面に1枚見慣れない絵があった。1852年に描かれた絵で、万博後のクリスタル・パレスが実は1000ft もの高さをもつ高層タワーとして改装されるという計画があったことを知った。1000ftは、300mである。勉強不足で知らなかった。

[:W640]
クリスタル・パレスが改装され超高層タワーとして蘇るという構想。
まあそんな無計画の1日であったが充実した気がする。フラットに帰って遅めの紅茶とマフィンを食べて休憩。夕飯は釜揚げうどん、生姜たっぷりの熱いだしつゆに入れて食べた。温まる。。。