5つか6つの展示を観る

5月6日、月曜日。

午前10時目が覚める。月曜日なので若干時差のような感覚がある。お茶漬けとサラダ、インスタントコーヒという変な組み合わせの朝食を食べる。TYKM氏から連絡あり、SOMERSET HOUSEのPICASO展を観に行きませんかのお誘いを受け、僕は逆にTATE MODERNのSALOUA RAOUDA CHOUCAIRを観に行きませんかのお誘い返しをして、両方共行きましょうと合意する。

昼前にフラットを出発。チューブに乗ってSOUTHWARKへ。TATE MODERNでTKYM氏と待ち合わせSALOUA RAOUDA CHOUCAIR展へ。1916年生まれ、女性アーティスト、中東を代表するアーティストのようで、TATEの広告に掲載された建築的な彫刻を観て行ってみようと思ったのであった。ペインティング、ドローイング、彫刻が4つの部屋に時代ごとにクロノロジーカルにカテゴライズされている。幾何学や色使いの実験が綺麗だった。生まれ変わるなら建築家になりたいと本人も公言しているように建築的なオブジェが沢山あった。彫刻は特にコルビジェのそれを彷彿させる造形が多くあった。

続いて、ELLEN GALLAGHER AxME展。S.R.C展と比べると部屋数も圧倒的に多い大規模な展覧会。しかもコンセプトが色と造形の実験という観ている方も楽しくなるようなS.R.Cの作品と比較すると、シリアスで重く、実にパンチのある展示だった。ダークになるものもあれば、終盤で観られる海洋生物にインスパイアされて制作された作品群は、色使いも綺麗で目を凝らして細部も観られるものが沢山あった。詩的な海洋図鑑といった感じだ。

まだ終らない。TATE MODERNの常設展も覗く。マルセル・デュシャン以降の理解するのに難しいまさにモダンアートど真ん中の作品群を眺める。壁に白い不定形の八角形の紙らしきが貼ってあるだけのアートを観て、コレは一体何だとTKYM氏と考える。考え方何重にもを捻ったり裏返したりしなければ、これらの本質的な価値には到達できない。わからないまま通過。


テート・モダン、メンバーズルームより


テムズ川の北側より、サウスバンク方面

5階のメンバーズオンリーのカフェで一服。TKYM氏はケーキとお茶、僕はエルダーフラワーのジュースとパンプキンとロケットサラダのサンドイッチ。セントポールテムズ川側の景色を観ながら談話。

さて、これでようやく半分だ。20分テムズ川沿いを歩いてSOMERSET HOUSEのTHE COURTAULD GALLERYへ。目的はBECOMING PICASSO: PARIS 1901。その前に15,6世紀から19世紀にかけての作品を集めたFIRST FLOORへ。上層階で開催されているピカソ展にいかずとも、かなりの作品をここで見られた。ゴッホ肖像画エドゥアール・マネフォリー・ベルジェールのバー、モネ、セザンヌの風景、エドガー・ドガのバレエの風景などなど、、、さすがOUTSTANDING COLLECTIONというだけあって凄い。

この階だけでも十分なのだが、最上階のBECOMING PICASSO PARIS 1901へ。文字通りピカソがフランスはパリで個展を開催する事になった時に描かれた作品がみられる。所謂「青の時代」の始まりである。親友カサヘマスの自殺をうけて描いた彼の死に顔の絵画もあった。1901年、ちなみにピカソはこの時19ー20歳である。小さな展示だったが名作がたくさんあった。1枚、特に最近の動向を知っている絵画があった。「鳩と少女」。詳細を知るわけではないけれども、最近売りに出されたこの絵画、1924年以降ずっとイギリスにあった訳だがカタールに渡るらしいというニュースをちょっと前に観た。英国政府はこれを阻止しようファンドを設立する(あるいはしよう)としたが、結果的に英国内での買い手が見つからなかった。カタールは世界でも3つの指に入るアートバイヤーだそうだ。ちなみにこの1枚の絵画、価格は£50M。現在のレートにして、77億円である。この「鳩と少女」がニュースになったのは4月、それでもまだここにこの絵があるのだが、それ以降はどうなったのか気になるところ。


ゴッホ肖像画。写真は僕が撮影したものだが勿論許可済み、フラッシュなしでの撮影なら問題なし。


エドゥアール・マネフォリー・ベルジェールのバー

[:W640]
「鳩と少女」

さてピカソだけではまだ終わらない。SONY WORLD PHOTOGRAPHY AWARDS。文字通り世界中から集まった写真の展覧会だ。コンペティション方式で有識者によって選別された写真が観られる。自然の建築の風景、文化ライフスタイル、スポーツの一瞬を捉えた美しい写真もあれば、世界中の実情、特に悲劇的なものが印象的であったが、それらを捉えたジャーナリズム写真も多く合った。

疲労の困憊、スターバックスで一休みした後、コベント・ガーデンを通ってSOHOへ。実は行ってみたいお店があったのだ。最近どうやら再びラーメン屋が出来たと知り合いのブログで知った。KIRAZU。あまり情報を持たずいってみた。こじんまりとした小さなレストラン。見るとJAPANESE TAPASとある、つまりお惣菜が食べられるところだったのだ。TKYM氏と入店、オーナ・料理人の日本人男性と色々と話しができて、お店が出来た経緯などを知ることが出来た。まずレンコンのきんぴら、明太子のあぶりを食べたがとても美味しかった。TKYM氏がおすすめされて注文した日本酒がこれまた美味しかった。僕も少し貰った。埼玉県のお酒なんだそうだ。ずっと京都で懐石料理をされていて、三越では料理長を勤められていたそうだ。僕は醤油ラーメン、TKYM氏は塩ラーメン。これまた美味しかった。恐らく今までのロンドンで食べた中で一番美味しかった。麺は北海道から取り寄せてこちらで熟成させてから出しているのだとか。最近のロンドンではラーメンがよく話題になるし、毎回新しいレストランが出るたびにそういう風に言うのだけれども、ここはスープが全部飲めるほどあっさりして美味しかった。


レンコンのきんぴらと明太子の炙り


RAMEN SOY/醤油ラーメン

そういうラーメンが作りたかったと仰っていたのが印象的だった。出す時間も作り時間もかかるけど、その分美味しいものを出していますという強い自信を持った方である。TKYM氏とはまたきますといって御暇する。ラーメン屋ではありませんときっぱり仰っていたので、今度はラーメンではなくTAPASをメインに食べてみたい。食事が終わってもまだ19時だったので、SCOOPにいってジェラートを食べた。薄暗くなってからバスに乗って帰宅。


ジェラートとTKYM氏