サイトビジットとオープニングセレモニー

事務所のEYが今日来る?っていうから何の事かと聞き返すと、現場へのショートトリップのことだった。実は今週末で完成する様だ。僕も実測段階から図面を立ち上げ、基本的な図面といくつかのディテール図面を製作した。それから仕事がシフトして暫くこの建築から遠ざかっていた。実に早い。今週中に完成するのには驚いた。ランチタイム、皆で現場へ。既存の建物があったころから見ると程よくなっていた。基本的な構造や外壁はそのまま、ちょっとばかし鉄鋼で構造のエンフォースメントをしたはずだ。僕がやったディテールや家具デザインなどの基本形が残っていて嬉しかった。

夜、仕事が終わってから日本大使館へ。オープニングセレモニー。T門でよく会うOさんが企画したイベントだ。今回はセレモニーだったので展示はさらっと見てイベント会場へ。Oさん司会進行・同時翻訳など大変そうであった。実に多くの方がきていてい大盛況だった。僕は群衆からは少し遠のいてサケノハナのにぎり寿司と日本産のサツマイモ焼きを堪能していた。美味なり。いつものメンバーと歓談し、21時過ぎ会場を後にチューブを乗り継いでフラットに帰宅。こんな週のど真ん中でチューブはまたもやストライキ、大半の電車が停まり、駅も閉鎖されている。ありえんな。

この仕事を離れて暫く経過したが、僕のデザインが生き残っていた。ボスに教えてもらったディテール。こちらで学んだ建築に関する知識の多くはフィティッド・ファーニチャー(作り付け家具)のディテールに関してのものだと思う。この写真は家具のエレベーション。写真にはMDFとアルミが見えている。黒に接した部分のエッジが効いているのと、ぼかしが入っている様なエッジが見えるのは別に写真加工ではない。平断面でそのように見える様な物理的処理を施してある。真ん中の黒い垂直線は、たしか3mmのシャドーギャップ(ちなみに良いクラフトマンが制御できるミニマルな寸法は1.5mm単位、だった気がする)。僕は元々ミニマルデザインからは遠ざかっていたけれども、こちらで働いてから徹底して皆(事務所の同僚達)がミニマルなので、それに従っている。ミニマルデザインの裏側には実に複雑な材料の格闘、勝ち負けが隠蔽されている。現実世界、1:1の世界において表面に現れる上っ面(皮膚的な事)だけでなく、その表面を支える皮膚の厚みに当たる部分が重要になる。ミニマルは簡単に成し遂げられない事が解ったので、とりあえずいい勉強にはなっている。一先ず好き嫌いせずに覚えられるディテールは習得して自分の引き出しに閉まっておこうと思っている。

日本大使館でのイベント後、大使館前で国旗を仰ぎ見る。このイベントに関してはこちらのウェブサイトから → http://collacqueration.com/