僕の送別会

11月27日、水曜日。

18時半TRUSCOTT ARMSへ。本日は、実は、僕の送別会だった。詳細は下記参照していただければ幸いです。ボス含めた全同僚と楽しく夜遅くまでワイワイと楽しんだ。この事務所を去って本当にいいのだろうかと、自分の決断に疑問を持ってしまったけれども、時が解決してくれることを願うのみ。ボスは何時でも戻ってきていいよ、何度も繰り返しいってくれた。GOODBYE GIFTはとても豪華だった。スケールや、スコヤが内蔵されたドイツ製テクニカル・ボールペン。ロンドンの建築をかたどったブックマーク。TAKの名前が入ったパーソナライズドモールスキンのスケッチブック2冊。

そして「YOU WILL BE BROWN OFF / ぶったまげるよ。。」と言われたものが箱の一番そこに入っていた。毎週欠かさず観ている STRUCTURED REALITY TVのMADE IN CHELSEAに関する本。おーっと思ったのだが、強烈に驚いたのは登場人物のJAMIE LAINGが僕宛に書いてくれたメッセージがあったことである。DEAR TAK、、、FROM JAMIE LAINGあり得ない。こんな短時間にどうやってと思ったが、ボスのMKに不可能の文字はないのは前々から知っている。感謝感激である。僕のために東奔西走してくれた皆に心より感謝を述べたい。

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ちなみに、JAMIE LAINGはこちら。

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さて、突然の発表になりましたが、11月末日を持って私はMRJ RUNDELL + ASSOCIATESを退職する事になりました。2009年1月から2013年11月まで、4年と10ヶ月、ほぼ5年間お世話になりました。2008年9月にUCLの修士課程を卒業と同時にリーマン・ショックによる世界恐慌に見舞われ、英国内の設計事務所や建設企業から建築家が姿を消しました。特にヨーロッパ圏外の移民は人員削減の対象となりやすく、就職活動をする僕としては大変不利な立場にありました。しかし帰国するという選択肢はありませんでした。なかったので100通近い履歴書と作品サンプルを、選り好みせずロンドン市内の設計事務所に送りつづけましたが、文字通り99%全滅でありました。そんな中、1社だけ僕にチャンスを与えてくれたのが、現在の設計事務所であります。

5年の間に多くを学びました。主たるプロジェクトは住宅でしたが、その中でもTODDINGTON MANORとMULBERRY WALKは特別に思い出深い建築でした。

一番初めに携わったTODDINGTON MANORはGRADE I LISTED / 第1級重要文化財に登録されているゴシック・リヴァイヴァルの改修であります。設計は建築家・政治家CHARLES HANBURY TRACY、1835年のウェストミンスター宮殿の設計コンペの審査委員長 / CHAIRMANを務めた人物であり、設計クライテリアの中に”建物のスタイルはゴシック、あるいはチューダーであるべきである”という要項を設け、自分がその時手がけていたTODDINGTON MANOR(1819年から40年に建設)のデザイン・スタイルを持ち込みました。ウェストミンスター宮殿とTODDINTON MANORが重なって見えるのはそのためです。


TODDINGTON MANORの全体像

1935年以降、教員組合、イギリス陸軍、アメリカ陸軍など移り変わる所有者によって建物のコンディッションは悪化するばかりで政府やイングリッシュ・ヘリテージにより管理の努力も虚しく衰退の道をたどるのみでありました。しかし近年英国の著名アーティストによって購入され改修と保存の兆しが見えたところにちょうど僕の就職口があったのでありました。

現在プロジェクトは都合により一時停止しておりますが、数年の間に建築の一部の改修、保存を担当しました。度重なる現場実測によりいろんなディテール、マテリアル、そして古いコンストラクション・メソッド、保存改修の美学を学びました。

TODDINGTON MANORの共に、NOTTINGHILLやKENSINGTON CHELSEAを中心とした数々のハイエンド住宅に関わりました。その中でもMULBERRY WALKは2010年の2月から今現在まで3年半みっちりと携わっているCHELSEAの既存住宅の大規模増築と改修プロジェクトです。ケンジントンのCONSERVATION AREA / 保存地区に位置し、意図的に左右対称性を意識して構成されたストリートスケープの一端を担う住宅であり所謂、「ロンドンのハイエンド住宅」を知るために十分な要素が含まれておりました。工事は第1フェーズの地下増築と上階のストリップアウト、第2フェーズの仕上げ、と2段階に分けられました。第1フェーズでは景観規制の厳しいセントラルロンドンで主流となっているUNDERPINNING工法による基礎の強化と地下室拡張のダイナミックなCONSTRUCTION SEQUENCEを知り、第2フェーズでは家具職人や大工による英国の伝統的を教わりました。はじめはアシスタントとして関わっていましたが、度重なるプロジェクトマネジャーの入れ替わりがあり最終的に既存の頃からの状態を知っているのは僕だけになりました。完成までの3年間に要した図面は凡そ700枚。家具や装飾、窓など既製品は殆ど使わず特別発注したため、その分多くの図面が必要となりました。ほぼすべて自分で図面を引き、頭の中に寸法やディテールが焼き付きました。日本にいては触れることのない西欧建築のスタイル、装飾などを実際に設計する事ができたのは貴重な体験でした。

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CHELSEAの住宅初公開。GROUND FLOORのホールです。

いずれこれらのプロジェクトについてはきちんと整理する必要があると思っているので、時を改めたい。

さて、、12月からは住宅プロジェクトを主としたアットホームなRUNDELL + ASSOCIATESから英国の設計事務所のランキングでFOSTER + PARTNERS、BDP、CAPITA SYMONDSに続き第4位の規模を誇る大規模な設計事務所、SHEPPARD ROBSONにて働くことになります。1938年に設立、今年で75周年を迎える老舗建築設計事務所で、ロンドン、マンチェスターグラスゴー、アブ・ダビに拠点があります。1950−60年代にはコンクリートシェル構造で有名だったようですが、昨今はどうやらサスティナブル建築におけるパイオニアの様で、2007年には英国ではじめてのカーボン・ゼロ・ハウスを実現したようであります。僕はヘッドクォーターであるロンドンに勤務いたします。自宅から歩いて15分という距離なので、RUNDELLのPRIMROSEHILLにあった旧オフィスに通っていた頃と同じように楽に通えるし、REGENTS PARKが更に近くなるので楽しみです。

色々と不安がありますが、不安のほうが大きいですが、一生懸命頑張りたいと思いますので、これからもよろしくお願い致します。