日本9日目:旅行レビュー、その2

4月30日の事を思い出しながら5月1日の日付に記している。(5月9日に更新)

早朝6時に起床。風呂に入る前に稲積島周辺を両親と散策した。空は珍しい雲で覆われていた。乳房雲といわれる雲だろうか。ドライアイスで覆われたような分厚い雲。大雨の前兆とされるらしいが、確かに翌日の紀南は大雨に見舞われた。防波堤の上に立つと太平洋からの風が吹き付け肌寒かった。天気予報では高気圧が南下して、南風は暖かくなると予想していたけれども、実際風は冷たいなと思ったのを覚えている。波は少々荒いけれども、岸壁で磯釣りをしている方々が多い。黒鯛とか、グレとかが釣れるのだろうか。

すさみ駅に立ち寄った。1時間に1、2本しか電車がこない静かな駅だが、その内の一本は新大阪や京都が終着駅になっている。京都からは3時間でここまでこれる。駅には地元のケンケン鰹漁を紹介する小さな資料館が併設されており、疑似餌や舟の模型、写真、本などが展示されていたのでしばらく眺める。山荘に戻り、風呂に入って朝食を食べた。カマスの開き、釜で炊いた白米と豪華な朝食だった。勿論美味しかった。外で頂いたコーヒーもとても美味しかった。山荘を後にして車で那智の滝へ。


石と木を使って何かをデザインするならこれくらいのレベルに達したいな。きっと無理だろうけど。

新緑が美しい鬱蒼とした森の中に突如落差133メートルの滝が現れる。石段を下って滝の麓へ。石と大木の根元がぶつかりあって共存している部分がよかった。超芸術トマソンの1つ「もの喰う木」を想起させる。こういうデザインが出来たらすごいなと思う。石と木が自然な形で融合している。

ブログで写真をポートレートで表示するのは憚られるのだけれども、ランドスケープで水平方向に切り取ってしまったなら、垂直性を強調する重要なコンポジションが失われてしまう。鳥居が場所の神秘性をより強調している。垂直方向に感じる力らしきはこの写真で捉えられたとしても、樹々のざわめきや水の音、科学的にいうとマイナスイオンとか、空気の潤いとか、そういうものが捉えきれてない気がする。写真でそういうものは捉えられるか。

木と石と水。これらだけで建築はできる。この写真はたかが800ピクセル程の幅であるが、オリジナル画像300DPI、3000ピクセルでみると石の艶とか樹々の険しい表情やきめ細やかな水滴みたいなのがみてとれる。

全景を見下ろす。

景色が何かによってフレーミングされると、切り取られたものが特別な見え方をしてくる。建築が風景をフレーミングしているのに気がつくとみんな一斉にシャッターを押す。山を上り下りしていい運動になった。疲れた身体に那智の黒あめソフトクリームは効く。身体にしみ込む。

那智を去って、しばらく車で。山から海へもどる。
1890年トルコからの使節団をのせた軍艦が暴風雨の為にこの海岸近くで難破、島民が救助活動を行い69名の命を助けた。600名近い乗組員が命を奪われ、遺体は丘に埋葬された。その記念碑がここに建立されたそうだ。