本を探して奔走する

本屋を渡り歩く日になった。色んな場所を点々と移動して本屋で本を探す。いや、本を探す前にまず本屋を捜したのだ。日曜日だから閉店を覚悟してまわっていたが、やはり閉まっている店が多い。ネットでちゃんと調べてこいよ、事前にと自分にいらつく。iphoneで調べるのも面倒になってしまったから、とりあえず歩いて知っているブックショップをあたる。まあ最終的にいいものが見つかったからよかった。それは意外なところで発見した。ピカデリーはRAAのFFにあるショップだった。長かったここまで至るのに。RAAではAnish Kapoor/アニシュ・カプールの展示をやっている。これはいつか行かなければならない。案の定の混雑具合だった。だから中には今日は入らない。フライデーナイトかあるいは土曜日早起きしてみるのがよさそうだ。

表のコートヤードにそびえるステンレススチールの彫刻はなかなかいいのでしばらく眺めていた。クサマ・ヤヨイ的だなと一瞬思いきや違った。Victoria&Miroの裏庭にある池に以前、これまた同じくステンレススチールの球体がプカプカと浮いていたのを思い出したからだ。ステンレスの塔はアニシュ・カプール作だった。先日のジェフ・クーンズといい、この種のマテリアルは非常に現代的だ。鏡面仕上げのステンレス。クロムメッキではないだろう。ジェフ・クーンの場合、風船の様だが、実はあれらはステンレスでできている。非常にキッチュで安価なイメージが、それが実は耐久性、靭性に富んだとても硬く、そして永続的な物質でできているという事を知るだけで、何だか作品自体の価値が逆流する感覚は不思議だ。曖昧な領域に自分の思考が迷い込んでしまう様な。


http://www.artinthepicture.com/paintings/Jeff_Koons/Elephant/ より ジェフ・クーンのエレファント

アニシュ・カプールのステンレススチールの塔の場合、ステンレスに反射する風景が最も重要視されているようだ。76つの球体がコートヤードをとりかこむ建物をゆがめて映し出す、反射が反射されさらに複雑な映像がつくられる。題名は「Tall Tree and the Eye」であるがまさに自分の眼を球体に見いだして、別の都市像を観る事ができる。球体と球体の隙間には不思議な空気が漂っている。

ステンレスの「鏡」としての特性は非常に現代的で知的だ。「鏡」だから意識はそのもの自体にはしばらく到達しない。一方でジェフ・クーンズのように鏡というよりかは、ピカピカしたグロッシーさからは、ステンレス自体を眺めてくれというメッセージが発信されている。キッチュさはそのステンレスの物質性というよりかは、ウサギ、ゾウとかそういった記号によるのだろうと思う。

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