異なるアプローチに揉まれる

長い建築的週末(土曜だけえ)が終わる。

朝9時にスイスコテージライブラリーに到着。ゆかのインスタレーションをキャド図面に起こしたのが1週間ほど前。その図面の施行が2日前から行われていて、今日の午前中に終わらせたいと考えていた。半分完成した実物を吹き抜けで観察。図面と実物との誤差はある程度において想定範囲内で、線材を引っ張り直して地面に水平に近くなるよう微調整を施した。それだけでも時間がかかり半分完成させるのが精一杯だった。又明日の朝、残りの半分を仕上げたいと思う。スイスコテージから2階建てバスでゆらゆら揺られながら、カムデンマーケットの人々を眺めていると堀田氏より電話あり。ちょうど行き違いになり今、図書館にいるとのこと。彼も又忙しく月曜に向けてエキシビションの用意をしている。で急遽助っ人としてバートレットへ。夜20時半まで作業。前者は物理的インスタレーションに対して、堀田氏のはコンピューティング。両者の異なるアプローチに揉まれ、よいアイデアが生まれるとよい。

週末のこういった過ごし方は正直疲れるがとても充実し満足している。平日の実務的な建築的頭脳の使い方と、今週末のSchematicな建築の思考の往復を常に心掛けていなければならない。何れの一方に対する眼差しが消え去りバイアスな思考回路になってはいけない。左も見て同時に右も見ようとしなくちゃ、育っていかないだろう。その往復の中で自問自答し続け、答えを見つけ出さなくては。

夜、お互い頑張ったので豪華なイタリアンを堀田氏と。単品たのんでフルコースにしてしまった。昼は一緒にゆかを手伝ったJUNとナイスランチを食べたので今日はもういいやと思っていたが、食べてしまった。しかもご馳走になった。すいません堀田氏。


観客の1人に、「数学が見える」という何とも素晴らしい褒め言葉をいただいたのだが、そんな大層なものはつかっていない。
せいぜい、和差積商、算数のレベルである。ただ、それでもキャドの力に頼らないとこの短期間で、この.1mm単位での寸法を洗い出す事はできない。まあミリ単位で墨出ししても、糸という素材は言うことを素直に聞いてくれない。だけれどもこのデザインに使われた単純な数学を表現するのに最適な素材ではある。この柔軟性に富んだ線材は文学的には「つながり」とか「コネクション」、あるいは「ネットワーク」などと解釈される。すなわち、ゆかちんがこのインスタレーションを通して表現したいことと抜群の相性をもっているのである。心残りなのはもうすこし素材の深みにはまって、「糸の伸縮性」の意味を探っても良かったかも知れない。糸を引っ張った時のバネのような感じがデザインとして生きていれば更に興味深いモノになったはずだ。実際、今のスタイルでも1つの垂れ下がった糸を引っ張れば、別の糸が反応して振動するのである。その「不規則性」が実はインスタレーションの骨組みにもなっている。


1つのインターフェースからアウトプットされたものが、別のインターフェースのインプットになり、またアウトプットになる。この時間差をもった不連続的連続のシステムが光のランドスーケープになって表現される。動物の群れの様な造形が冷たいプラスチック、金属に写り込む小さい1mm程の白色LEDによってつくりだされる。その光は何ともクールなのである。

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