サーペンタインよりも。。。

6月3日、日曜日。

SERPENTINE GALLERY / サーペンタイン・ギャラリーに到着。HERZOG & DE MEURONとAIWEIWEIによる夏の仮設パビリオンが1日にオープンした。生憎の雨だったけれども、屋根が雨の受け皿になるというデザインのコンセプトからしてよいのかもしれない。コンセプトは解りやすい。過去に建設されたパヴィリオンの基礎を発掘し、その上に屋根を掛けたもの。過去の建築の幾何学は立体化=家具化され、コルクで被覆されている。

サイトに対して考古学的なアプローチで何らかの幾何学を発見、複雑な重なりを立体化する。こういう過去のパビリオンに言及して設計する方法は、サーペンタインギャラリーの過去のパビリオンを見ても例外である。ただ実際に掘削して基礎が発見されたかどうかは、BDでニュースになった通りだ。僕の記憶が正しければ、実際に基礎は発見されなかった。ROYAL PARKが定める条例の中に仮設建築の基礎は解体後に取り除く義務がある、そう定めてあったと記事に書かれていた。。(うる覚えです。)だからCON=詐欺ではないかと言われている。

OMAのDUTCH HOUSEは同じようにサイトのトポグラフィーを発見、増幅させるという方法でデザインされていたはず。小さな取っ掛かりが肥大化され住宅を構成する重要な空間要素となっていた。完成した後に、事実として考古学的に存在していた段差が重要なのかどうか、それは解らないけれども建築設計におけるナラティブ性を説明するためにはキーとなる。ナラティブはフィクションだ。つまり春樹風にいうと「プロのホラ吹き」によるホラである。だから建築家もそういう意味では詐欺であっても実際の空間体験が何かしらの心地よさ、楽しさが得られればそれで良さそうだ。特にこういう仮設のパビリオンでは。この短いブログの記事で、しかも半分眠りながらタイプして話がどんどんそれていきそうなので、ここまで。


それはこれから重要な事を記事にしなくてはならないからでもある。
記憶が鮮明な内に記録しておきたい。必ずこれより下の文章を読んでいただきたい。

今頃(16時頃)テムズにはもの凄い数の船が浮かんでカナレットの絵画の様な風景が拝めるのかもしれないが、先に挑戦していたMEIMEI、TKYM氏、ミドリさんとそのお友達グループは残念ながら断念せざるを得なかった。川沿いのエリアは混乱を避ける為に既に封鎖され中に入る事はできなかった。断念した皆は、近くのパブで休憩中だった。きつめの雨が降り出して混み合ったパブに僕は到着、皆に合流した。突然の雨で身体が冷え込み、トイレに駆け込んだ。

便器が3つあって、僕は真ん中、両隣には男性がいて並んで小便をした。右隣の人に目がいった。小柄なおじさんは何だか僕らが小学生の頃に持っていた体育着をいれるナップサックを背中に背負っていた、凄く古そうで汚かったので、この人は浮浪者かなと思った。ロンドンの公共空間にはトイレが少ないから結構パブのトイレを使ったりするのだ。で僕はこの人もそうなのだろう、、と思って顔を見てみた。黒い髪の毛はボサボサで安そうなサングラスをしていた。で、2人とも小便が同時に終わり、同じく2つ並んだ洗面器で手を洗って鏡を見た。

ふと、、はてどこかで見た事ある顔だなと思った。2人とも見合ってほんの数秒の沈黙が続いた。金曜日に髪を切って短くなったので僕の頭はワックスでスタイリングされていた。雨に降られて崩れていたのでなおした。隣りの浮浪者風のおじさんも同じ様になおした。そういうところには気を使うんだなと思った。んん、、やっぱり、、おれこの人どこかで見た事あるなと思った。

でふと僕の左側にいた別の男性がこの浮浪者みたいな人に声をかけた。「。。。。ですか?」ときいた。え、、、と心臓が飛び出しそうになった。浮浪者はその質問に対してその人の顔を見つつ何も答えなかった。そしてトイレから出て行った。僕はその人の後ろにぴったりついて一緒にトイレを出た。そしてMEIMEIに必死にアイサインを送って、「この人の顔を確認してくれ」と伝えた。MEIMEIも他の人を「見た事あるかもしれない」といった。

その浮浪者風の人はパブでビールを買う為に並んでビールを買った。その人は知らない人に声をかけられ一緒に写真を撮ったりしていた。気さくな人だった。色んな人から声をかけられていた。僕は隣りにいた知らない若者にあれは一体何者かを聴いた。その人が誰かを知って驚いた。トイレで僕の左側にいた人が浮浪者風の人に聴いた質問は正しかったのだった。

パブを出た後もその人はすぐ隣りで傘をさしながらビール飲みつつ「あはは」と笑っていた。見る見るうちに浮浪者風の様相は特別な物に見えてきた。これがロックなのだ。本物だ。

そうかこれがあの伝説のバンド、THE ROLLING STONES / ローリング・ストーンズのRONNIE WOOD / ロン・ウッド / ロニー・ウッズ(64歳)なんだと皆で感激した。一緒に小便をし、同じ鏡で隣同士で髪の毛をいじられて実に光栄だった。

夕方SHARI3の会に集合する。KIG君のプレゼンを聴いたり皆と今後の展開などについて話したりして、食事へ。韓国料理で焼肉を盛大に食べて力をつけた。雨、雨、雨。夏はもう何処へやら。


パブのお客さんと写真を撮る気さくなロン・ウッド。体育着を入れるナップサックが印象的だ。強烈に目に焼き付いた、ずっと忘れないなきっと。