キッチン・レンジクッカー

目が痛い、カタログ見過ぎて。目がキッチンになってしまう。数十数百と存在するキッチンブランドから、これだというガスコンロとオーブン一体型のレンジクッカーを見つけるのは至難の技だ。いや、見つけるのは簡単。ネットでごっそりと標本は確保できる。というより見つけたものの山から最後にその1つに絞り込むのがむずかしい。寸法規格、値段、そして素材も機能もほぼすべて同じ。最後は美学的判断しかないのだ。つまり見た目。はあ、どれにしようかなぁ、、、というか何でこんなに全部同じように見えるんだろう。。。と思っていた時に、昨日読んでた経済地理学者デヴィッド・ハーヴェーがカントの美学的判断について書いていた事を思い出した。

「美学の探究は、一つにはきわめて多様な文化的所産を認める必要性から生じたものであり、それは非常に特異な社会的状況、すなわち商取引の増大と文化的接触とが顕在化した社会的状況の下で生み出された。明澄の花瓶、ギリシャの花瓶、ドレスデンの磁器はすべて、何か共通の美的情緒をあらわしているのであろうか。」--- 「ポストモダニティの条件」より

とあった。なるほど、言い換えたら美学的判断がないとビジネスがビジネスとして機能しないのか。皆同じようなレンジクッカーでも、個人の美学という価値基準が入らなければ、これにしようと決められない。そうならなければ売買は成立しない。売買が成立するからビジネスが成立する。売れるものは売れる。売れ筋という統計的な値が導き出されデザインが固定されてくる。無数に存在するレンジクッカーとレンジクッカーとの狭間には存在しない共通した固定観念、大衆のレンジクッカーという虚像がある。だから皆類似してくる。

まあ最終的にボスがこれ、といってまったく僕の見当違いのものを選んだ。ヒジョウにヒジョウーリである。まあ、いいや、それも美学的判断のもとで決定されたのだから、文句のつけようがない。決定理由は、「これが1番レンジクッカーらしくないかしら」であった。この「らしさ」というのは厄介である。ヨーロッパにおける長いキッチンの歴史の流れの中で徐々に精製されていったのだろう、このイギリス人の言う「らしさ」というのは。プラス、ボスの個人的記憶もあるだろう。


どのレンジクッカーがみなさんは好みですか?あるいはレンジクッカーらしいですか?900HX900WX600D、ステンレススティールです。

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