衝撃のAbercrombie & Fitchの店舗コンセプト

ロンドンには言わずと知れたファッションブランド達がたくさん軒を連ねている。だから店舗のガラスショーケースなどの面構えは勿論のこと、どのブランドも気合いがはいっている。

ファッションに関係する空間で今まで「これは本当にいい」と思ったことはあまりなかった。特に有名ブランドなどになると、どうしても緊張感や格式感が表に出てしまって消費者側としてはあまり面白くない。この緊張感が嫌いだった。意図的に設計されたこの張った空気。しかしながら最近、空間もよく、更にはその運営コンセプトがなによりも最高だと感じたなんとも楽しめるショップを発見した。

Abercrombie & Fitch のこのロンドン店は感動的によかった。コンセプトがなかなかいい。やられた、確実に不意打ちだった。このブランドはまだ日本では直営店はないはずだ。GAPの路線と近しいものがあるが、一段上のアメ・カジュである。きっとこれからもっと流行って、日本にもできるだろうな。

店舗の表からこのブランドであることは解らない。場所もリージェントストリートの裏側にあり特に目立たない。ロンドンの街中にある普通の建物だ。セヴィルローのエッジにある事が特徴だ。そこになにやら人が群がっている。誘われるようにして中にはいると正面にはデニムだけ履いた上半身裸のよい体格をしたモデルの男性が立っており、一緒に写真が撮れたりしちゃう。店舗内にはいると一気に明度が落とされた暗い空間になり、クラブミュージックが鳴り響く不思議な空間に変わっていく。かかっている音楽はダンス・ミュージックだ。店員がイケメンで女の子はかなり可愛い。踊っている店員もいる。踊りながら客を相手するのが仕事なのである。だから店員はスタッフではなく、キャストと言われているそうだ。つまりその空間を演じる配役として存在している。店内では手が届かない程に高い棚にびっしりとパーカーやフリース、デニムが仕舞われている。全体が暗い事で、服のカラフルさが際だっている。そのカラフルさと内装のシックさがカジュアルではあるのだが、ある種の高級感を醸し出している。けれどもあくまで全体を統合するのはクラブ的な空間だから、嫌みな高級感はうまく払拭されている。部屋がいくつもある豪邸で迷ってしまうというようなインテリアだった。

店内の置物、彫刻、絵画、棚、ガラスケースなどすべてがブランドコンセプトにそって制作されている。下のキャスティングを募集する動画から店の雰囲気が垣間見られる。

youtubeもよいが、この動画は画質がよいオリジナルをお薦めします。↓
http://www.abercrombie.co.uk/anf/lifestyles/html/casting.html