ところで、最近、面白そうなものを載せていなかったので少し。

SHARI3のFOUNDERの小見山陽介さんは先週30歳になられた。82年生まれの同い年だけれども僕が先に30歳になった。僕の30歳は特に特別なものではなかったけれども、コミさんのそれは違う、、、と勝手に想定して勝手にプロジェクトを進行させた。長々と経緯を語るのはちょっと面倒くさいので、単刀直入に言うとKUBO-Cと組んでコミさんの名刺をデザインしたのだった。

貰いたくない誕生日プレゼントのリストがあるとしたら恐らくこれは上位に挙げられるものではなかろうか。「名刺」である。本来なら自分でデザインしたいもんだ、自分の顔になるものだから。しかしそこはあえて、名刺。コミさんが絶対に自分ではデザインしないものを最終目的とした。思わず微笑してしまうユーモアのある名刺ということだ。

まあ印象的な「顔」だろうという結論にいたる。隠し撮りした一眼の正面写真をトレースし、線の太さ、カーブの曲率、目、髭、メガネ、口など特徴だけを拾って、後は削除する。削りに削った。レファレンスは明らかだがJULIAN OPIEのアート。商業的な理由じゃないから「レファレンスしても大丈夫だよね」とKUBOーCと不安になるものの、まあいいやと突き進む。線に対する0.5ptの操作だけでコミさんに近づいたり遠のいたりする。皆が共有できる「コミさん」を描き出すのは難題なのだ。

数日に作業を経て顔が目的値に近づいた。そこで名前を入力。TIMESやら固いフォントで表すと一瞬にしてPOPさが消失し、台無しになる。ではLUCIDAやHELVETICAではどうか。なんだか自分の事務所の図面を見ているようで辞めた。フォントブックを雑読しているとBell Gothicという普段あまり使わないフォントが目についた。なんとなく二人共にしっくりときたのでBOLDとBLACKを名前、メアドにあててみる。うん。これでよし。とりあえず形は整った。

幾つかのレタープレスしてくれるワークショップに連絡を取りサンプルを送ってもらう。幾つか見てみたもののGLASGOW PRESSが最も良かった。いいよとグラフィックデザイナーのNARIさんから太鼓判を貰ったので、これなら大丈夫だと迷わず決断した。数回の電話・メールの打ち合わせでスペックを確定し見積りを経て以下のスペックに決定する。85x55mmブリティッシュのビジネスカードの基本系にLETTER PRESS / 凸版印刷。デジタルデータからフォトポリマーのプレートを形成しプレスする事でエンボス・デボス加工ができるようになり、そこに色を加えたり、FOIL / フォイルを敷くことができる。紙はCOLOURPLAN, 540 gsm, WHITE。ワンカラーインクか、フォイルかという選択をしなければならなかった。希望として金のフォイルだった。アルタナティブはこの色に近いPANTONE 871Cが選択肢としてあったけれども、そのオプションは除外した。KUBO-Cと色々と議論し合ったが、いや金以外はない。コミさんに代りがいないのと同様、金色にサブスティチュートはない。迷った自分が恥ずかしい。" GOLD FOIL PLEASE "とグラスゴー訛りのDANに最終的な意向を伝え、生産プロセスに入ってもらった。

週末にものが到着。安心できるクオリティだった。喜んでもらえると嬉しい。
コミさんがいつまでも金色に輝いてくれますよーに。

それにしても久しぶりにデザインで遊んで楽しかった。