カツ丼がまずかった

8月13日、土曜日。
まだ完全復帰ではないなと目覚めた瞬間に思う。午前7時。横になりながら読書、10時前迄。福田和也著「贅沢な読書」。ヘミングウェイの「移動祝祭日」と夏目漱石の「明暗」、ゲーテの「イタリア紀行」を読みたくなった。ギリシャに行く時は良い本1冊は持っていきたい。英語に関しての最近の読書はKATE FOX「WATCHING THE ENGLISH」。英国人とは一体何者なのか、逆説的に自分=日本人とは一体何者かを知りたくて読んでいる本。

起床して朝食。しっかり自炊し食後自分の部屋の掃除と洗濯。続いてフラット全体の掃除と洗濯。諸々の事をやっているとあっという間に昼時。昼食はざるそば2人前を平らげる。準備をして外出、センターで米など食材を買ったりして一旦帰宅。

帰宅して荷物をすべて放り投げハーフパンツに着替える。いい天気でしかもいい気温だったから散歩したい、外食したいなと思ったので手ぶらで再びセンターへ。風が通って気持ちがよかった。THE ROCK & SOLE PLAICEで久しぶりにフィッシュアンドチップスでも食べるかなと思ったけれども、今の胃によくなさそうだったので近くまでいったものの諦めた。その変わりの日本食、、、これがいけなかったな。

某TキョウDでいただいたカツ丼。これがまずかった、お世辞にも旨いとは言えない。使ってるだしがニガく、しょうゆを入れ過ぎなのか辛い。この味で£10.30は高い。昔これを喰ったら2500円だったのかと思うと憤りを感じる。今だから1300円。いや、それは値段を下げればいいと言う訳ではない、決して。この味、、もはや忘れかけているが日本のコンビニカツ丼の方が残念ながらまだマシだ。

いつの事だったか。あれはたしか学部生の頃だった。
高校からの同級であるS.IT君と一緒に美味しいトンカツを食べたことがあった。いや、あれは一緒に食べたというか、代金はお互い割り勘で支払ったけれども、彼に食わされたという感じだった。彼は変わってるやつで、学生の分際でちょっといいお店に行きたがるヤツなのである。僕は逆で(逆というか素直で)学生食堂の600円くらいのチーズカツ(理工学部の食堂)をおいしいなといって食べるようなヤツであった(これも実は美味しいのである)。

それはそうと、確か目黒の「とんき」というお店だったか。昼でもない、夜ご飯とも言えぬ曖昧な時間帯に入ったせいか、お客さんの数は確か僕ら2人だけだったような気がした。のれんを潜り、誰もいない店内に学生2人が突然現れ、カウンター越しに待機していた威勢のいい料理人の目線が一気に2人に集まった。いらっしゃいの嵐。

白木のカウンターは清潔でとても分厚く丈夫そうであった。奥行きが一般的なカウンターよりも深く、そして横にとても長くて印象的だった。ソースなんかこぼしたら大変な事になるなと思った。ソースをこぼしながら食べる様な客はこないのである。座ると同時にこれまた真っ白く綺麗なおしぼりが出され緊張感が高まった。店内の雰囲気から、いや、、もはや暖簾を潜る段階から解っていた事だが、ここには600円のチーズカツなんて邪道なものは存在しない。メニューを恐る恐るみている横で、S.ITはこなれてるのか俺が真面目にお品書きを眺めているのにも憚らず「ロースカツ定食2つ」とバカでかい声でカウンター越しの大将に注文したのだった。2000円近い定食を断りも入れずに頼みやがった、、、と焦って心拍数が上がった。まあ、、、でも正直食べてみたいと心の底では思っていた。そのカツが学部時代の僕にとって最高に美味しかったのだ。ああ、おいしい、カツってこんなに香ばしくジューシー、それでいてちっともシツコクない、、こんなに美味しいものなのかと感動した。キャベツも新鮮でシャキシャキ、ほのかな甘みがあってそれだけでも白米が進むような美味しさであった記憶がある。おかわり自由だったかな、、赤出しだったのかな、、あさりかな、、、たくあんだったかそれとも柴漬けだったか、、。。。ったく、ITのヤツと思いつつも、実は幸せいっぱいだった。。。

日本とは兎に角何でも充実したすばらしい国であるなとRIOT対策が実施された寂しげな道をバスの2Fから見下ろしながら考える。
今横になりながら読んでいるMUJIのカタログ。イギリス国内の店舗数は13。それに比べ日本は367店舗。同じ様に美味しいトンカツが食べられる店も同様に多いはずである。

まあそんな素晴らしいカツの思い出があるから、まずいカツ丼を食べたくらいでは僕はなぎ倒されないのである。地球の裏側で覚えた味、その記憶が染みついて離れないのである。


いらっしゃーい!!!見た目は閉店中だけど、オープンしてるゼぃ、の近くのセインズベリーズ。RIOTを警戒しつつもオープンしているのであった。


P.S.
アニメ版美味しんぼの「トンカツ慕情」をご覧になった事があるだろうか。あのカツ、とても美味しそうなのである。是非みていただきたい。